1.はじめに / 2.研修目的 / 3.研修の特徴 / 4.研修内容 / 5.到達度目標の例 / 6.院内教育スケジュール / 7.待遇 / 8.参考資料・研修指導医 / 9.資格修得 / 10.研修実績・コメント / 11.お問い合わせ
1.はじめに
当院の診療圏は、東は国東半島・佐伯・大分、北は北九州・福岡、内陸は田川、日田までの広範囲にわたります。したがって当院には、「かかりつけ医」的な1次医療から、整形外科専門の2次医療、高度医療を含んだ3次医療までの全ての医療と、在宅復帰、在宅介護などの介護保険領域までもが求められ、地域住民の期待に応えるべく、それらを実践しています。
病床数は93床で、2009年度年間手術件数1370件であり、その症例数の多さからは、日本整形外科学会の専門研修カリキュラムにある経験すべき外傷、疾患、検査、治療は1年間で網羅できます。特に、膝関節と肩関節の関節鏡視下手術は全国有数の手術件数を誇っています。骨髄炎の治療においては全国一の治療経験を有していますので、高気圧酸素治療と川嶌式持続洗浄法を目的として日本全国から紹介患者が来院しています。
当院の他院ではもちえない特徴として、高気圧酸素治療があります。多人数治療用の大型の治療装置3基を有し、骨髄炎、閉塞性動脈硬化症などの血行障害に伴う難治性潰瘍、脊髄神経疾患、ガス壊疽、一酸化炭素中毒、減圧症などの治療に取り組んでおり、創傷ケアセンターを開設しています。
リハビリテーション部門も充実しており、現在、理学療法士28名、作業療法士14名、言語聴覚士1名が医師と一体となって、早期に満足の行く社会復帰を目指して治療を行っています。全国的にも珍しい義肢装具部門も存在し、リハビリテーションの質向上に貢献しています。
老人保健施設、デイケアセンター、訪問看護、ヘルパーステーション、介護支援センターなどの在宅関連施設も併設しており、救急・入院から在宅までのトータルケアを実践しています。
2.研修目的
当院におけるレジデントコース(後期研修)は、卒後2年間の初期研修を終了し、整形外科専門医を目指す3年目以降の医師を対象としています。日本整形外科学会専門医の取得を目指し、必要な基本的、専門的診療能力を身に着けることを研修目的としています。
3.研修の特徴
7名の指導医の下に研修を行います。常勤医はそれぞれ、人工関節、肩関節、膝関節、手の外科、関節リウマチ、感染症、スポーツ外傷などのsubspecialtyを持っていますので、それぞれの症例について各専門医のマンツーマンの指導を受けられます。各種カンファランス、勉強会の他、主治医として病棟患者、外来患者の診療にあたります。学年、技量により、手術は積極的に執刀医として担当してもらいます。
日本整形外科学会の専門研修カリキュラムの内容を網羅するよう、3ヶ月~半年毎に、経験した症例、診療内容の確認と到達度をチェックし、症例を振り分けていきます。
4.研修内容
-
【1】整形外科全般
初年度は臨床研修終了後、整形外科医としてスタートする医師を対象として、整形外科の基礎を重点的に学びます。
主な内容は以下となります。
- 外傷の病態・診断・治療
- 運動器疾患の病態・診断・治療
- 整形外科的検査
X線(モニター診断)、MRI、骨塩定量、関節造影、脊髄造影、神経伝導速度など
- 保存療法と手術療法
- 整形外科的医療安全管理
- 高気圧酸素治療の基礎と臨床
- 理学療法、作業療法
- 在宅関連業務、介護保険分野
- 医学史と医学哲学・医療倫理
- インフォームド・コンセント
-
【2】整形外科の専門分野
同時に整形外科の専門的分野にも取り組んでもらいます。治療(特に手術療法)にあたっては
習熟度・到達度により振り分けます。主な内容は以下となります。
- 外傷
初期治療、保存療法、手術療法
(ブラッシング・デブリードマン、観血的骨接合術、人工骨頭置換術、骨移植術など)
- 関節外科
保存療法、手術療法(人工関節置換術、関節形成術、関節鏡視下手術など)
- 手の外科
保存療法、手術療法(腱縫合、腱移植、腱移行、関節形成術、皮弁形成術など)
- 関節リウマチ
保存療法(生物学的製剤による治療)、手術療法
- スポーツ
保存療法(ACLに対する装具療法など)、手術療法(関節鏡視下手術、ACL再建など)
- 骨・関節感染症
保存療法(抗菌剤使用法、高気圧酸素治療など)、手術療法(川嶌式持続洗浄法など)
- 脊椎・脊髄疾患
保存療法(各種ブロック)、手術療法(経皮的髄核摘出術、ヘルニア摘出術、開窓術など)
なお、脊椎・脊髄疾患に対する手術療法では頸椎手術、インストゥルメンテーションなど
専門性の高い手術の研修は他病院に国内留学し学んでもらう事もありえます。
- 麻酔管理
-
【3】学術活動
大分県整形外科医会、西日本整形災害外科学会を中心に積極的に発表を行い、発表したケースは論文にします。
専門性によって、各専門学会にも発表・投稿しています。
5.到達度目標の例
研修1年目(3年目)
- 関節内注射(膝、肩SAB)
- 腰部硬膜外ブロック、仙骨裂孔ブロック、神経根ブロック
- 関節造影、脊髄造影検査
- 新鮮開放創、開放骨折の初期治療
- 骨折、肘内障、脱臼徒手整復
- 人工骨頭置換術
- 大腿骨転子部骨折に対する骨接合術
- 長管骨骨幹部骨折に対する骨接合術
- 手関節骨折
- 足関節骨折
- 狭窄性腱鞘炎に対する手術
- 膝関節鏡、鏡視下半月板切除術
- 手根管開放術(鏡視下、直視下)
- アキレス腱断裂に対する手術
- 骨髄炎に対する手術
研修2年目(4年目)
- 関節内骨折に対する骨接合術
- 手指腱断裂に対する手術
研修3年目(5年目)
6.院内教育スケジュール
曜日 |
開催週・時間 |
名称 |
内容 |
火 |
毎週 |
7:30~7:50 |
英文抄読会 |
- |
7:50~8:50 |
病棟総回診 |
- |
第1週・第3週 |
13:00~14:00 |
ランチョンセミナー |
トピックス講義 |
水 |
第2週 |
7:30~8:30 |
病棟連絡会議 |
- |
金 |
第1週 |
7:45~8:00 |
MRIカンファランス |
中津市民病院放射線科医と合同 |
第2週・第4週 |
7:30~8:00 |
術後カンファランス |
術後症例の検討 |
第3週 |
7:20~8:00 |
シニアセミナー |
指導医による専門講義 |
毎週 |
8:00~8:50 |
術前カンファランス |
手術症例の検討 |
月1回程度 |
18:15~19:15 |
院内研修会 |
安全管理など |
7.待遇
対 象 |
整形外科専門医を目指す研修医(3年目以降の後期卒後臨床研修) |
給与 |
経験等によりフレキシブルに対応します。 |
研修当直医 |
4~5回/月(日曜祝祭日含む) |
勤務 |
休日 9日間/月 |
社会保険 |
健康保険および厚生年金加入有り、労働災害補償保険有り |
医師賠償責任保険 |
病院自体の加入有り、日本医師会員登録(個人負担) |
宿舎 |
有り 2K相当のアパート(独身者)、4LDK相当の一軒家(既婚者) |
図書室 |
有り 蔵書6,000冊 インターネットによる文献検索可能(医中誌,メドライン) |
インターネット |
利用可(医局・図書室・個人PC持ち込み) |
学会参加 |
可能 2回/年以上可能(発表の場合は参加費・宿泊費・交通費・日当を支給) |
その他 |
研修中、約1ヶ月間、ハワイ大学あるいは北京骨髄炎病院での研修が可能です |
8.参考資料・研修指導医
主な術式 |
観血的骨接合術 |
膝関節鏡視下手術 |
鏡視下手根管開放術 |
人工関節置換術等 |
靱帯断裂再建術 |
件数 |
460 |
148 |
61 |
97 |
8 |
研修指導医 |
役職 |
専門 |
資格 |
川嶌眞人 |
理事長 |
骨壊死、リハビリテーション
骨・関節感染症、(骨髄炎ほか)
関節リウマチ、血行障害
小児整形、先天性股関節脱臼
高気圧医学、減圧症、潜水病
腰痛疾患、外傷学
スポーツ医学
|
医学博士
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会リウマチ認定医
日本整形外科学会スポーツ認定医
日本整形外科学会運動器リハビリ認定医
日本リハビリテーション学会臨床認定医
日本医師会認定産業医、スポーツ医
日本リウマチ財団登録医
|
田村裕昭 |
所長 |
骨・関節感染症、スポーツ整形
高気圧医学、腰痛疾患
関節外科
|
日本整形外科学会専門医
日本体育協会公認スポーツドクター
日本医師会認定スポーツドクター
日本医師会認定産業医
日本リハビリテーション学会臨床認定医
日本高気圧環境・潜水医学会HBO治療専門医
リウマチ登録医
|
川嶌眞之 |
院長 |
関節リウマチ、人工関節
骨・関節感染症
|
医学博士
日本整形外科学会専門医
日本リウマチ学会専門医
日本整形外科学会脊椎脊髄病医
日本整形外科学会運動器リハビリ医
日本高気圧環境・潜水医学会HBO治療専門医
日本整形外科学会専門医
|
永芳郁文 |
副院長 |
人工膝関節
人工股関節
下肢変形疾患
|
大分大学医学部 臨床教授
日本整形外科学会専門医
日本高気圧環境管理医
大分股関節研究会 世話人
大分人工関節研究会 幹事
|
本山達男 |
第1診療部長 |
膝関節 |
日本整形外科学会専門医 |
古江幸博 |
第2診療部長 |
手の外科 |
日本整形外科学会専門医
日本手の外科学会専門医
|
9.資格習得
- ■ 日本整形外科学会認定専門医
- 当院は、日本整形外科学会の認定を受けた専門医認定研修施設です。
(日本整形外科学会認定専門医は、日本整形外科学会会員となり日本整形外科学会認定施設で
4年間の後期臨床研修終了後に受験資格が得られます。)
- ■ 日本高気圧環境・潜水医学会高気圧酸素治療専門医
- (日本高気圧環境医学会会員として2年以上在籍し、高気圧酸素治療を行っている医療機関に
2年以上引き続き勤務し、高気圧酸素治療に従事した後に受験資格が得られます。)
- ■ インフェクションコントロールドクター
- (日本高気圧環境医学会会員として2年以上在籍し、高気圧酸素治療を行っている医療機関に
2年以上引き続き勤務し、高気圧酸素治療に従事した後に受験資格が得られます。)
- ■ インフェクションコントロールドクター
- (ICD協議会に加盟している学会に在籍し、医師歴5年以上で、病院感染対策にかかわる活動実績があれば
受験資格が得られます。当院は骨・関節感染症治療の専門病院ですので論文発表で受験資格が得られます。)
- ■ その他
- 日本リハビリテーション認定臨床医、リウマチ登録医などの資格習得が可能です。
10.3年目医師研修実績
≪3年目医師の手術件数≫
部位 |
術式 |
部位 |
執刀 |
助手 |
上肢 |
骨接合術 |
- |
16 |
21 |
関節鏡 |
肩 |
0 |
13 |
ECTR |
- |
3 |
5 |
その他 |
- |
8 |
34 |
下肢 |
骨接合術 |
大腿骨頚部骨折 |
21 |
4 |
その他 |
14 |
19 |
人工骨頭置換術 |
大腿骨頸部 |
5 |
11 |
人工関節置換術 |
股・膝 |
0 |
3 |
関節鏡 |
膝 |
3 |
12 |
その他 |
- |
10 |
16 |
4月~翌年2月 合計 |
80 |
138 |
11.お問い合わせ
社会医療法人玄真堂 川嶌整形外科病院 総務部長 吉田 公博
〒 871-0012 大分県中津市宮夫17 TEL 0979-24-0464 FAX 0979-24-6258
E-mail:info@kawashimahp.jp