大分県北情報誌スマイル内企画「スマイルホスピタル」に掲載した
当院医師による医療関連コラム(Q&A形式)です。
A.肩関節は人体の関節の中で最も脱臼しやすい関節です。骨で支えられ
る部分が非常に少なく、肩甲骨の関節窩と言われている受け皿のような部
分は、上腕骨頭(腕の付け根の骨の丸い部分)の1/3~1/4しかありませ
ん。そのため、大きな動きは可能となりましたが、安定性は周囲の柔らかい
軟部組織(筋肉・腱・関節包等)に依存しています。初めての肩関節脱臼の
際は激痛を伴い、全く腕を動かすことができません。関節を元の位置に戻す
「整復」ということを行い、3~4週間程度の固定の後に普段の生活に戻る
ことになります。この後、再び脱臼をすることなく経過すれば問題ありません
が、肩関節を構成している関節包や関節唇の損傷、関節窩の骨折、上腕
骨頭の変形など、初回の脱臼で肩関節の中に生じたことにより、脱臼しや
すい肩関節になってしまうことがあります。これを反復性肩関節脱臼と言い
ます。残念ながら、反復性肩関節脱臼はそのままにしていても治りません。
手術療法が必要となります。日頃の生活で肩関節を動かすと、脱臼してしま
うのではないかという不安を抱えている方がいましたら、一度御相談下さい。
医師 佐々木 聡明
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A.手術や麻酔をすると様々な要因でストレスが発生するために、患者さ
んにはある時期まで精神的・肉体的に負担がかかります。ストレスを少なく
することはできますが、結局はこの期間を乗り切るには体力が必要で、とり
わけ心臓と呼吸の状態が重要になります。「以前の心臓の手術」はとて
も大切な情報です。経過が良好で日常生活を普通におくっている場合は
心配する必要はありません。しかし、術前にすでに息切れや動悸、足のむ
くみや尿の減少を自覚している場合は心不全の徴候なので要注意です。
手術までに時間があれば詳しい検査をして内科的な治療を優先したほう
が安全でしょう。麻酔には大きく分けると全身麻酔と局所麻酔の2種類し
かありません。従って麻酔の方法は全身か局所のどちらか、あるいは2つ
を組み合わせて行うことになります。最終的にどの麻酔を選択するかは、
手術の方法や予想出血量といった手術の要因と、検査結果や飲んでい
る薬の種類、それから診察所見といった患者側の要因とを総合的に判断
した後に決定するようにしています。当院には麻酔科専門医が在籍して
いますので心配な点があれば主治医を通じていつでも相談してください。
医師 原西保典
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A.そもそも「突き指」という言葉は診断名ではありません。ただ単に「指を突い
た」という状況を表しているだけですので、いろんなケガが考えられます。ボール
が伸ばした指先から当たったとしましょう。指に真っ直ぐに当たった場合には、関
節に曲げるか、反り返るかの力が働きます。急に曲げる力が加わると、第1関節
の骨折や腱断裂(どちらも第1関節が伸びなくなる)を起こすことがあります。逆
に指が反り返ると、第2関節がやられやすく、手掌側の掌側板という組織が切
れたり、掌側板がついてる骨を剥がす骨折を起こします(グニャッと反り返る第2
関節になる)。更に力が加わると第2関節は脱臼することもあります。真っ直ぐで
はなく指が左右にぶれた場合には、第2関節に横に曲げる力がかかり、曲がっ
た方と逆の靭帯が切れることが多く、ひどい場合には第2関節が横向きに脱臼
することもあります。脱臼の場合は引っ張れば、大概元に戻ります。骨折でも
引っ張って悪くなることはまずありません。昔からの言い伝えはあながちうそでは
ありません。しかし、それで治る訳ではありません。脱臼は戻っても靭帯が切れて
いれば手術になることも多くあります。よく「突き指だと思ってた。」と、しばらく
経ってから来院する方がいますが、大概は骨折か靱帯断裂かのどちらかです。
ケガして1日は様子見ても良いですが、翌日痛みが全く引かない、曲げ伸ばしが
できない、腫れている、という場合は、自分で引っ張りながら病院に行きましょう。
医師 古江幸博
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A.内側半月板後角横断裂が疑われます。膝の中は内側と外側に
分かれますが、半月板というクッションが内側、外側にそれぞれ存在し
ます。半月板は軟骨の負担を和らげ、膝を安定させるように働きます
が、年齢とともに変性(材質が痛んできます)し、50歳以降になると
容易に損傷することがあります。代表的なものが内側半月板の後方
付着部にあたる後角の損傷で、時に非常に強い痛みを呈すること
と、受傷機転が軽微なことが多いのが特徴です。歩行中に足をつい
た瞬間に膝裏に激痛が走り歩行困難となったなどが典型的な症状
です。MRIでおおよそ診断をつけることは可能で、安静にすることで
症状は軽減してきますが、中には膝の骨壊死を発症したり、変形性
膝関節症が増悪することも多く油断できない疾患です。保存的な治
療を行っても症状が持続する場合は関節鏡手術を行っています。断
裂部周囲に切れ目を入れて出血させ治癒を促すラスピングや部分
切除などの処置を行っています。痛みを我慢し無理するとやはり良く
なく、痛みも持続し時に骨壊死や膝変形の進行など問題を生じます
ので、整形外科の早期の受診をお勧めします。
医師 本山達男
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A.地域連携パスがあります。太ももの付け根が折れるケガは70代以上
の方に多くみられ、寝たきりの大きな原因になっています。中津市近郊の
現状は、毎年170人前後の方が治療され、その半数以上の方は、中津市
外にお住まいです。自宅に帰られる方は30%前後であり、半数はリハビリ
施設への転院を余儀なくされる事も明らかになっています。また独り暮らし
や90歳以上の方も多く、ご本人のみならずご家族にとっても将来の見通
しも含め、大きな不安となります。このような問題に前向きに取り組んでい
くべく、2007年3月から地域連携パス活動を続けて参りました。旅行には
旅のしおり(パスポートやパス)があるように、治療にも事前計画や予定が
解っていると安心です。ケガしたときにパス発行して利用できないかと考え
られた仕組みであり、現在では、中津市地域近郊を中心に、北部大分から
福岡県を跨いで、転院や他施設への入所をスムーズに行えるようになりま
した。ご家族のご不安に対し少しでもお役に立てるようにと、医療関係や
福祉スタッフが施設の枠を超えて協力しています。住み慣れた地域で安
心して治療や介護を受けることができるということを目標にしておりますの
で、もしなにかお困りのことがございましたら、いつでもご相談ください。
副院長 永芳郁文
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A.人の骨は、骨を形成する骨芽細胞と破壊する破骨細胞がバランスよく働き、古い骨を壊
し、新しい骨を作って一定の骨量が保たれています。骨粗鬆症では、骨の代謝のバランスが
壊れ、骨形成よりも骨破壊が上回る状態が続き骨がもろくなっていきます。高齢化の進んで
いる日本では、骨粗鬆症の方は現在約1300万人と推定され、うち女性が8割を占めていま
す。骨量減少状態とは骨密度が若い人の70~80%で、70%以下は骨粗鬆症と診断されま
す。さらに、70%以下の方で1つ以上の脆弱性骨折(背骨や大腿骨、上腕骨、手関節などの
骨折)があれば重症骨粗鬆症と診断されます。当院でも毎日のように高齢者の骨折患者さ
んが来院され、多くの手術も行われています。なかでも大腿骨や股関節の骨折では、歩行回
復に時間を要すことが多く、著しくQOL(生活の質)が低下し、自力での生活が困難になり社
会問題化しています。また、1度骨折すると、2度、3度と骨折を繰り返す確率が高くなり、「骨
折のドミノ現象」と呼ばれています。このドミノ現象を防ぐには、骨粗鬆症を診断し適切な治
療を継続することです。現在では、骨形成の促進や骨破壊を抑制する内服薬や注射薬など
の開発が進み、どの薬が適切かの診断法も進歩し、多くの治療効果を上げつつあります。欧
米ではすでに骨折の頻度は減少してきています。しかし日本では、残念ながらまだ骨粗鬆症
の治療を受けられている方は、骨粗鬆患者全体の20~30%程度と報告されています。骨粗
鬆症の治療をして、骨折の危険性を抑制しQOLを維持・改善をしながら、健康寿命延ばすこ
とが重要です。まず専門医療機関を受診して、自分の骨粗鬆度のチェックから始めましょう。
クリニック所長 田村裕昭
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A.関節リウマチは関節内の滑膜という組織に炎症がおこり、最終的には
活性化した破骨細胞が骨を溶かして関節を変形させてしまう病気です。以
前より炎症を薬で抑えることによって痛みや腫れをある程度抑えることは可
能でしたが、変形の進行を抑えることは非常に難しく、変形した関節を治療
するには手術を行うしか方法はありませんでした。しかし近年登場した生物
学的製剤という注射薬によって、多くの患者さんの炎症を抑え、更に変形の
進行を抑えることも可能となってきました。現在日本で関節リウマチに使用
できる生物学的製剤は7剤あります。投与方法としては点滴、皮下注射があ
り、投与間隔は薬により週2回のものもあれば、2か月に1回のものもありま
す。副作用については特に感染症に注意する必要があります。風邪を悪化
させたり、隠れた結核やウイルス性肝炎(特にB型肝炎)等を発症させたりす
るリスクがあるので、薬を使用する前にはこれらの検査を十分に行う必要が
あります。生物学的製剤の登場で、従来の治療法では難渋していた患者さ
んに対しても良好な治療成績が得られるようになりました。しかし変形してし
まった関節を元に戻すことはできないため、関節の変形を予防するためには
早期の診断と治療が以前にも増して重要になっています。手のこわばりや
四肢の関節痛でお困りの方は、一度受診されることをお勧めいたします。
院長 川嶌眞之
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A.腰痛をきたす疾患はいろいろありますが、若い人に最も多く起こるのが腰椎椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアは脊椎の椎帯という骨と
骨との間にあるクッション=椎間板の病変が原因といわれています。この椎間板の病気は、椎間板の中心にある軟骨の塊(髄核)が周りの線
維輪を破り、その圧力によって後方の神経根を圧迫するために腰痛が起きたり下肢が痺れたりします。その椎間板の部位によって圧迫される
神経根の部位が異なり、痺れる部位も異なるのが特色です。脚を伸ばしたまま腰を前方に曲げると、下肢に響く痛みのあるのが特徴です。治
療法としてはまず安静第一ですが、症状がひどい場合は入院して持続的な牽引や硬膜外ブロック、神経根ブロックなどで痛みを和らげます。通
常は2~3週間の安静とこれらのブロック注射、リハビリによる腹筋・背筋の強化や腰痛体操などによって、90%の人は回復します。しかし、神
経麻痺をきたしたり、足首が上がらない、親指が動かない、大小便が出にくくなるなどの神経症状がある場合は手術を行う事があります。詳細
は、当院の整形外科スタッフにお尋ね下さい。
理事長 川嶌眞人
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A.ある調査では、中高年の5人に1人は肩痛に悩まされていると言われています。この中高年に生じる肩痛は一般的に「五十肩」と言われ、診断をする際に
は、まずレントゲンが撮影されます。治療については、時間が経てば治ると言われ、痛みが強い場合に湿布や痛み止めが使用されています。骨・関節を扱う整形
外科において、レントゲンは画像診断の第一選択であり、肩周辺の疾患においても同様に用いられています。脱臼や骨折のような外傷性疾患に対して、レント
ゲンは十分な情報が得られます。しかし、非外傷性疾患においては石灰性腱炎及び変形性肩関節症のみがレントゲンにて診断可能であり、これは肩痛を呈す
る疾患の10%未満であります。上腕二頭筋腱疾患及び肩峰下滑液包炎、腱板断裂、凍結肩などはよく知られている肩痛を起こす原因となる疾患ですが、これら
は軟部組織に主病変があるため、レントゲンは診断に役立ちません。従って、肩痛はありますが、レントゲン上は問題ない状態になります。肩関節疾患において、
画像診断装置としてはMRIが最も有用であり、90%以上を直接画像診断できます。肩痛が持続する場合には、レントゲンだけでなく、MRIによる画像診断が必要
であると考えられます。当院にて検査可能ですので、御相談頂ければと考えます。
医師 佐々木聡明
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A.気のせいではないかもしれませんよ。日常生活であまり痛くなくても、運動すると痛いのは要注意です。腰を後ろに反ったり捻ったりする動作を繰り返しているうちに、腰
椎の後方にある「椎間関節突起間部」に疲労骨折を起こすことがあります。それを腰椎分離症といいます。日本人の4~7%に認められ、その発生にはスポーツ活動との関
連が指摘されています。初期には単純X線では診断が困難なことも多いですが、CTやMRIなどあわせると診断がつきます。疲労骨折ですので、早期に診断をつけ、適切な
時期にコルセットを装着し、3~6ヵ月程運動を中止すれば骨癒合は得られ、スポーツ復帰も可能です。しかし、全く症状がない、あるいは症状が軽微なことも多く、たまたま
単純X線で分離が発見される場合もあります。その場合骨癒合は難しく、今後分離した腰椎が前方に滑って分離すべり症になる可能性があり、将来腰痛や下肢の症状が
発生する可能性があります。また、分離症だからといって必ずしもスポーツを諦める必要はなく、痛みを軽減する治療をしながら運動を続けることは可能です。スポーツに熱
心な少年、少女、またその家族にとって、長期におよぶ運動休止の宣告はとても辛いものであり、正確な診断が何よりも重要ですが、心おきなくスポーツをし、これから先も
快適な日常生活を送れるよう、不安があれば是非とも整形外科を受診して下さい。
医師 小杉健二
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A.太ももの裏には大きな筋肉がありハムストリングと呼ばれます。ハムストリングは肉離れを起こしやすい部位であり、サッカー選手の肉離れの
42%がハムストリングに起こります。肉離れの重症度はMRIでもわかるようになってきていますが、診察上では筋肉のストレッチ痛が非常に重
要で、太ももの裏の筋肉を伸ばして痛みが出るかを確認します。具体的にはうつ伏せで寝た状態で膝を伸ばせなければ重症です。次に仰向け
で寝た状態で膝を伸ばしたまま股関節を曲げていき、良い方の足との差を確認します。これらの方法である程度の重症度を確認した上で治療
方針を決定します。基本的にはストレッチ痛が消失してから本格的にトレーニングを開始しますので何週間、または何ヶ月後にスポーツ復帰が可
能とは一概には言えませんが、最も軽症の場合では受傷1~2週間後からスポーツ復帰可能です。逆に最も重症であれば手術が必要となり、
受傷後6ヶ月~12ヶ月程度かかる事もあります。肉離れは自分で軽症と判断しやすく、その為に再発しやすい傾向にあります。スポーツ中に太も
もやふくらはぎ等に急激に痛みが出現した際には一度ご相談下さい。
医師 渡邊裕介
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A.子供さんはよくケガをしますね。
ブランコ・滑り台・鉄棒・自転車などからの転落や転倒したり、交通事故にあったりいろいろな状況で肘を損傷します。
擦り傷程度の軽傷のケガであれば大丈夫でしょうが、もし肘周辺で腫れが強くなったり、痛みが強かったり、痛みが持続するような
状態だと要注意です。それは、ケガによっては大人ではなく子供さんだから起こる合併症があるからです。肘周辺は子供さんが最も
骨折しやすい部位の一つであり、レントゲンを撮っても診断が難しいことがしばしばあります。このことから、ケガをした時の状況
とともに、経過が非常に大事であるということになります。ケガの状態によっては、受傷した時や数週間の経過だけではなく、長い
時間や成長とともに肘の変形を来すことがあります。変形を来したときは美容的な問題となり、変形に対する手術が必要になること
があります。また、変形のみならず神経の障害が経過とともに発症する可能性があります。指が動かしづらいといった動作の問題か
ら、しびれが続くなどの感覚の問題が生じることもあるのです。いずれにしても、子供さんの肘周辺のケガでは診断から合併症まで
非常に重要なので十分注意しましょう。心配な時は整形外科の受診したほうがよいでしょう。
医師 尾川貴洋
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A.昼間は元気に走り回っているのに、夜になると膝を痛がってグズり出す。 また翌日はケロッとしてるのに、夜になるとやっぱり時々痛がる。3~5歳の児に時々みられる症状です。 「成長痛」と診断されることがありますが、実は良く分からない痛みなのです。心配は要りませんので、 痛がる時は少し撫でてあげて下さい。そのうち痛がらなくなります。「成長痛」とよく耳にすると思いますが、 では「成長痛」って何でしょう?子供の身長が伸びるにつれて骨も当然長くなっていきますが、骨の成長に筋肉の 成長が追いつかないので痛みが出る、これが「成長痛」である、と言われています。そうでしょうか?だったら 子供はみんな痛い筈ですし、年間10cm以上も伸びる児は痛くて痛くて仕方ないですよね。「成長痛」とは医者が 勝手に作りだした根拠のない診断名なのかもしれません。成長する事自体が痛みの原因だとしたら、神様の仕事としては手落ちですね。 でも、成長過程特有の痛みはあります。骨が成長するのは、関節近くの「成長軟骨」という場所で伸びますが、 当然「軟骨」ですので「骨」よりは柔らかいのです。関節を動かす(例えは、サッカーボールを蹴るには膝を 瞬間的に伸ばす動作が必要です)のは筋肉がする仕事ですが、筋肉に引っ張られて実際に動くのは骨です。 (膝を伸ばすには、太ももの筋肉が脛の骨を引っ張って、膝が伸びます)小学生も高学年になると、 結構強いシュートを蹴りますよね。柔らかい骨がシュートの度に引っ張られて、少し剥がれて痛みが出ることがあります。 (上記で言うとオスグット病と診断されます)こういった成長過程特有の痛みはありますが、 これも世の中では「成長痛」と呼ばれることが多いようです。 第二診療部長 古江幸博
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A.【膝疾患におけるMRIの有用性】
膝の靭帯損傷、半月板損傷、骨折など全般的にMRI診断が有用に用いられています。1980年代後半より普及しだしたMRIは磁力を
利用した検査で、検査時間は膝では約20分ほどで特に痛みを伴う検査ではありません(寝ていることが苦痛や、たまに造影剤を
静注して行うこともありますが)。放射線被爆は一切ありませんが、妊娠中の女性や手術などで体内に一部の金属類(心臓ペー
スメーカーなど)がある場合などが禁忌となっています。当院のMRIは開放性で両サイドが空いているため閉所恐怖症の方も検査
は受けやすくなっています。前十字靭帯損傷では受傷機転や局所の所見プラスMRIでの靭帯自体の描出と骨変化、後十字靭帯の
状態、関節内の血液貯留による腫脹などでかなりの確率で診断可能です。半月板損傷もMRIで半月板自体が描出され、
痛みを伴う関節造影(関節内に造影剤を注射しレントゲン撮影を行う)を行うことはほぼなくなりました。
骨折においても不全骨折などレントゲンではわからない軽度のものもMRIでは初期より描出され、膝疾患の診断において、
また整形外科疾患全般においてMRIはなくてはならないものとなっています。当院ではMRI検査は予約制になりますが、
積極的に行っていますのでどうぞご利用ください。
第一診療部長 本山達男
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A.人は年齢を重ねると、徐々に膝関節の擦り減りや変形がおきてきます。初期は立ち上がりや歩き
始めに痛みを生じますが、進行とともに増悪し、夜寝ていても痛むようになり、立ち上がりや階段昇降で
の痛み、和式トイレや正座などができなくなるなどの生活動作にも障害を生じるようになります。変形や
疼痛で外出もおっくうになることもあり、立てない、歩けないなどの状況を余儀なくされる場合もありま
す。障害を取り除き、安定感のある足、歩ける足にするための解決策が人工関節です。膝では悪い部
分を削り取り(2~10mmくらい)、金属やプラスティックの部品をはめ込みます。1970年台から主に広
がり、30年以上の歴史を有するロングセラーのものから、新しい機種のものまで、様々の種類があり、
世界で、年間数十万もの患者さんが手術を受けられています。また欧米やアジアでも長期の良好な成
績のみならず、早期社会復帰や経済効果への良好な影響までも認められています。若返りの手術では
ないので、曲がりも良くなって正座もできるようになることはあまりありません。しかし、痛みがへることで
旅行や散歩などいままでできなかったことが可能になり、生活の質の向上が期待されます。感染や静
脈血栓症など、予防をしていても避けえない合併症も数%はあるため、充分な術前検査とさらなる対応
安全策をとり、手術の方法や時期について病院で十分にお尋ねになられることをお勧めいたします。多
くの患者さんが、リハビリテーション(リハビリ)を行うことでよりよい生活動作を身につけていかれます。
人工関節とは障害を少しでも改善させるために、世界で認められ、世界中で行われている治療法です。
副院長 永芳郁文
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A.特に外傷などがなく足に急激な炎症(疼痛・発赤・腫脹・熱感)を認める場合,痛風発作が疑
われます。痛風は男性に多く,安静にしていても風が吹いても痛いということでこのように呼ばれてい
ます。足の母趾のつけ根が赤く腫れることが多いですが,足首や足の甲,アキレス腱部,膝や肘,手首
等におこることもあります。痛風発作は,血液中の尿酸が上昇した状態(高尿酸血症)が長く続くと,
尿酸の結晶が関節内に沈着し,これを白血球が処理しようとして発症します。尿酸は体内のエネル
ギーの燃えカスなどの老廃物で,プリン体もその元となるものの一つです。痛風発作時には血液中
の尿酸が減少していることもあるので,発作時に尿酸値が高くなくても痛風を否定することはできま
せん。診断が困難な場合,関節液検査で痛風結晶の有無を調べることも有用です。尿路では尿中
の尿酸が析出して結石が出来ることもあり,腎臓に尿酸がたまると腎不全となり透析に至る可能性
もあります。また,高血圧や高コレステロール血症(脂質異常症),糖尿病などの生活習慣病と関係
して動脈硬化を進行させ,心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高めるともいわれています。痛風発作
時の治療には消炎鎮痛薬を使用します。また尿酸値を下げるためには,発作が治まってから尿酸値
をコントロールする薬を長期間服用することが必要です。定期的な血液検査を行い,発作が起こらな
くても薬を勝手にやめることは望ましくありません。またプリン体の多い食事やアルコールを減らした
り,水分を多くとったり,適度な運動をするなど生活習慣を改善することが大切です。適切な治療と予
防を行えば予後は良好ですが,放置すると命にかかわる疾患ですので,是非診察を受けてください。
院長 川嶌眞之
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A.日本は、今後2025年まで高齢者が増え続け、現在の1.5倍近くになりその後し
ばらくその状態が続くと試算されています。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活
が制限されることなく生活できる期間と定義されています。平成22年の健康寿命は、
男性70.42年、女性73.62年で、平均寿命は、男性79.55年、女性86.30年ですか
ら、その差は、男性9.13年、女性12.68年となります。この差は、日常生活に制限のあ
る不健康な期間となりますから、いかにこの期間を縮めるかは、医療政策上も、高齢者
個人にとっても切実な問題となっています。要支援や要介護になった原因では、腰痛
や膝痛、骨折などの運動器の障害が23%、脳血管障害が22%、認知症14%、衰弱
14%、その他26%であり、健康寿命を延ばす観点から、運動器の障害を予防すること
は非常に重要と思われます。運動器の障害は「ロコモティブシンドローム;略してロコ
モ」と呼ばれ、整形外科を中心に、その予防についての啓蒙活動が推進されていま
す。ロコモ度テストとして、立ち上がりテストやステップテスト、ロコモ25(25項目の質問
に答える形式)などで自己診断(詳しくは日本整形外科学会ホームページを参考にして
ください)をしていただき、ロコモ予防体操を行ったり、問題があれば、整形外科を受診
して病状のチェックを受けるなどして、早期に障害発症予防に取り組むことが大事です。
健康寿命を限りなく平均寿命に近づけて、ピンピン・コロリと人生の終末を迎えるのが理想ですね。
クリニック所長 田村裕昭
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A.骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、骨が弱くなって日常生活の何
気ない動作でも骨折をしてしまう病気のことを言います。腰背痛や円
背、身長短縮で異常に気付く人もいますが、本人の知らないうちに脊
椎が圧迫骨折を起こしている場合もあります。最近は、骨のレントゲン
だけでなく、骨量を正確に測定することによって骨量の減少を確認で
きます。手首の骨折に始まり、上腕骨上部、脊椎と次々と骨折を繰り
返し、大腿骨頚部(大腿部の付け根の骨)が骨折すると、動くことが
困難になり、早期に手術して動かなければ肺炎や心臓病、血栓症を
合併して寝たきりになったり、生死に関わる病気となることがありま
す。特に女性は閉経期に骨量が10~20%減少しますので、65歳以
上の半数、また80歳以上では3分の2の高齢者が骨粗鬆症を発症し
ます。骨を丈夫にするためには、運動習慣と食生活習慣が重要です。
日光浴で体内にビタミンDを産生し、乳製品でカルシウムを摂りましょ
う。骨折をきたしたら、術後は極めて有効な治療薬が内服や注射で投
与できますので、専門医にご相談下さい。
理事長 川嶌眞人
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A.「五十肩」は日常でよく見かける疾患名ですが、いまだに原因不明であ
り、その定義は一定していません。江戸時代に書かれた『俚諺集覧』に記載
され、現在まで使われている呼称です。一般的には40歳以上に好発し、肩
関節構成体の退行変性を基盤として発症します。明確な病態診断がつけら
れない症候群であり、自然に改善する予後良好な疾患であると言われてい
ます。「五十肩」は①疼痛痙縮期、②拘縮期、③寛解期という3つの病期に
分類されます。①の時期は疼痛と運動制限が出現する急性炎症期です。そ
れに続く②の時期は疼痛や運動制限は緩和されますが、肩関節拘縮が強く
なり日常生活の制限が明らかになってくる時期です。③の時期は疼痛、関節
可動域制限が次第に軽減していく時期とされています。それぞれの病期に
適した薬物療法や運動療法を行うことが必要となります。また、実際は長期
経過調査において、「五十肩」は必ずしも全員が自然にはよくならないという
報告もあり、適切な治療を行うことが必要となります。更に「五十肩」と言わ
れて様子をみている中に、肩関節を支えている腱板に炎症のあるものや断
裂してしまっているもの、神経がかかわっている疾患等が含まれている可能
性もあります。肩の痛みは放っておかずに、整形外科医にご相談下さい。
医師 佐々木聡明
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A.手のしびれと言っても原因は様々で、首の神経や、上腕以下の神経
から生じる症状であったり、はたまた薬剤に伴う副作用や、糖尿病などの全
身疾患に伴う症状の一つである場合もあります。問診や診察、画像検査
など診察した上で上記を鑑別しますが、最もよくみられるのは母指から環指
の半分(母指側)のしびれを訴える手根管症候群というのがあります。手
根管とは、上記の範囲を支配する正中神経の通り道で、手根骨と屈筋支
帯で構成されるトンネルのことを指し、何らかの原因でトンネルの圧が上昇
し、神経を圧迫することにより症状が出現します。進行すると、手掌の母指
側の筋肉が委縮して、うまくつまむことができないといった対立障害が出現
し、日常生活に支障が及ぶこともあります。治療は過度の手指の使用を控
えるなどの生活指導や、ビタミン剤の内服、ステロイド薬を手根管内に注
射したりすることもありますが、効果は一時的なことが少なくなく、手術とな
る症例が多いです。当院では小皮切で実施可能な内視鏡を用いた手術を
行っています。傷口も少なく、短時間で手術可能であり、治療効果もしびれ
や痛みといった自覚症状は比較的早期から改善することが多いです。わず
かな手のしびれ、痛みであっても軽視せずに気軽に当院にご相談下さい。
医師 小杉健二
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A.足の痛みの原因は数多くありますが、今回は外反母趾のお話です。外反母趾とは母趾中足趾節関節(足の親指の付け根の関節)が
外反している(外側を向いている)状態であり、痛みを伴う疾患です。原因としては生まれつきの要因と生活環境による要因があります。
親指が人差指より長い(エジプト型)場合などが生まれつきの要因で、窮屈な靴を常用する事などが生活環境による要因としてあげられます。
症状としては初期には疼痛がありませんが、疾患の進行とともに痛みが増強します。重度になると親指が人差し指の下に潜り込みます。
治療としては減量、長時間の歩行を避ける、親指の運動、足底板(靴の中敷き)の作成等があります。
実際には、足は日常生活で使用を控える事が難しく安静を保つ事は困難です。これらの治療でも痛みが取れない場合も少なくはなく、
その時には手術を考えます。足は心臓から最も遠くにあり、酸素や栄養素が届きにくい部位です。
また体の一番下にあるので常に圧力にさらされており、なんと頭の2倍近くの圧力にさらされています。
このように日々過酷な環境で頑張っている足ですから、たまには日々の苦労をねぎらってあげましょう。
皆様の足の痛みが軽減され、楽しく外出ができるようになる事を心から祈っております。
医師 渡邊裕介
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A.肩関節はヒトの関節の中で最も広い運動域を有する関節であり、動作時には非常に複雑な動きを伴います。そのため肩痛が出現するこ
とで日常生活に制限を来すケースが少なくありません。特に原因がなく夜間に肩痛が生じる場合からスポーツや仕事中に肩痛が出現する場
合などがあり、いろいろな状況下での肩痛発症には原因も様々考えられます。肩疾患には、打撲や事故などによる外傷や石灰性腱炎(肩関
節に石灰が沈着する疾患)といった急性疾患と、五十肩や腱板断裂などの慢性に経過する疾患があります。治療としては状態によっては手術
が必要な場合もありますが、手術を行わずに適切な治療で症状を軽減・改善されることが多くのケースで可能です。その場合、主な治療方法に
は薬物療法(内服薬・外用薬・注射等)とリハビリテーションが挙げられます。特に肩疾患に対してのリハビリテーションは非常に有効であり、
肩関節機能改善と疼痛の除去に対して勧められます。日常生活動作に困難を感じられる方や、スポーツ・仕事等で不自由がある方は一度整
形外科医を受診することをお勧めします。
医師 尾川貴洋
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A.大好きな野球が出来ないのは、つらいですね。チーム事情によっては
親御さんの方がつらいかもしれませんね。でも、痛みは肘の悲鳴です。しばら
く休んで元気になれば、君の肘はまた頑張ってくれます。野球の投球時には
肘内側に引っ張る力がかかります。これに抵抗するのが靭帯ですが、君たち
の年代では靭帯よりも骨の方が軟らかいので、骨が引っ張られて少しずつ
剥がれるようになり痛みが出ます。ほとんどの小学生の野球肘は内側を痛
がります。治療は残念ながらやっぱり投球禁止です。君たちの骨は治る力が
大きいので、休めば元の骨に戻ります。期間は1ヶ月! 順調なら2ヶ月でピッ
チャー復帰です。投球禁止と言われると、大ショックですよね。でも野球禁止
とは言ってないよ!出来ることはいっぱいあります。いっぱい走り込むもよし。
反対の手で投げる練習もやってごらん。ランナーコーチって結構難しいよ!
一般には内側野球肘で復帰可能な児がほとんどですが、なかには離断
性骨軟骨炎といって、外側の軟骨が剥がれて、いわゆる「関節ネズミ」に
なる野球肘があります。初期は痛みが少ないですが、進行すると治療の
選択肢が限られてきます。野球をやっていて肘痛があれば、軽い痛みでも
必ず診察を受けて下さい。
第二診療部長 古江幸博
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A.変形性膝関節症は膝関節内の軟骨に変性が始まり、進行すると変
形をきたす疾患で、整形外科でも最も多い疾患の一つです。日本で約800
万人の有病者がいて、40歳以上では男性の10人に1人、女性では5人に
1人が変形性膝関節症で症状を有していると推測されます。女性で肥満が
あり、内反膝(O脚)傾向の方が増悪しやすく、予防はまず膝を酷使しないこ
とと、肥満に注意することです。立って歩行をすると常に膝関節は体重を支
えており、関節軟骨には体重による負荷がかかっています。体重が増えると
膝の負担が増大しますので、肥満を防ぎ、肥満傾向の方は減量することが
大切です。リハビリは膝周囲の筋力を鍛えることが予防、治療ともに大事で
す。座って膝を伸ばして10秒ぐらい止める体操を1日50回行うなど簡単な
膝の体操を続けることが大切です。治療は保存療法では痛み止めの内服
薬や膝の腫れを減らすような漢方薬、外用剤の使用、運動療法、ヒアルロ
ン酸の関節内注射、足底板などがあります。手術は半月板損傷合併時の
関節鏡手術、内反膝に行う骨切りや、変形が強く最終的に行う人工関節
などがあります。早期に治療を行うことで、症状の増悪を防ぐことができま
す。症状があれば早めの整形外科受診をお勧めします。
第一診療部長 本山達男
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A.これは、進行性の疾患で、先天性股関節脱臼や股関節の形の異常などに
続発するものが多く、女性に多いとされています。関節の擦り減りや変形が
原因で痛くなり、加齢とともに徐々に悪化するため、股関節の痛み、動きの
制限、歩きにくさを感じたら、レントゲン検査を行ってもらい、どのくらい悪く
なっているのかを確認してもらいましょう。初期は立ち上がりや歩き始めに痛
みを生じますが、進行とともに増悪し、夜寝ていても痛むようになり、足の爪
切り、靴下の着脱、和式トイレや正座など、生活動作にも障害を生じるように
なります。治療法には、まず薬の服用、体重のコントロール、はきものの調
整、杖の使用などの保存療法が選択されます。経過を見つつ、症状が取れ
ない場合には手術療法が検討されます。手術の方法や時期については病
院で十分にお尋ねになられることをお勧めいたします。最も重要なことはリハ
ビリテーション(リハビリ)の重要性です。同じレントゲン像でも痛みや歩き方
はずいぶん変わってきます。それは日々のトレーニングによって、下肢ー股関
節ー骨盤ー脊椎の運動がスムーズに行われるようになり、また弱った筋肉も
鍛えられてくるからです。温めるだけでなく、また、単なる筋力訓練だけではな
い、バランスの取れたエクササイズを行っていくことが重要でしょう。
副院長 永芳郁文
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A.特に誘因無く、朝の起床時に手指を中心としたこわばりが出現し、四肢の関節
が腫れて痛む場合、関節リウマチの可能性が考えられます。関節リウマチは全
身の関節に腫れや痛みが生じる炎症性の病気で、30歳以上の約1%の方が
罹患し中年女性に好発するといわれていますが、男性や高年発症の方も少な
くありません。手や膝、肩、足などの関節に左右対称に症状が現れることが多い
とされますが、初期のうちには1ヶ所しか生じないこともあります。似たような症状
を呈する疾患としては腱鞘炎や他の膠原病、痛風、感染性関節炎等が挙げら
れます。鑑別するためには血液検査が有用ですが、それだけでは十分でなく、病
歴や実際の診察所見などからの総合的な診断が必要となります。治療としては
従来から様々な薬物療法があり、それらにより症状が治まることも少なくありませ
んが、なかにはなかなか効果が得られず全身の関節破壊が進行し、人工関節
置換術などの手術を要する患者さんもいます。最近は生物学的製剤という新た
な治療法が広まっており、従来の治療法では難渋していた患者さんに対しても
良好な治療成績が得られるようになりました。しかし一度変形してしまった関節
を元に戻すことはできないため、関節の変形を予防するためには早期の診断と
治療が以前にも増して重要になっています。関節リウマチは患者さんにより多
彩な症状を呈しますので、一度、診察をお受けになることをお勧めいたします。
院長 川嶌眞之
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A.私たちの体は、骨や筋肉、関節、椎間板などから構成される運動器によって動
いています。この運動器の機能の低下により、日常生活の自立度が低下し、要
介護状態または要介護状態になる恐れがある状態をロコモティブシンドローム
(運動器症候群)、略して「ロコモ」と言います。「ロコモ」の3大要因としては、
①骨粗鬆症や骨粗鬆症による骨折、②変形性関節症や関節炎による下肢の
関節機能障害、③脊柱管狭搾による神経の圧迫が原因で起こる腰痛や下肢
のしびれが挙げられています。中高年になってくると3大要因の発症が多くなり、
動くことが制限されると、ますます筋肉や骨が弱くなり、運動器の機能がさらに
低下していく悪循環から、閉じこもりがちになり、寝たきりになることもあります。
このような状態では、まず医療機関で原因を診断し、痛みに対する治療を受け
ながら、膝や腰に負担の少ない方法での運動療法の指導を受けることが有効
です。「ロコモ」の予防としては、移動障害のレベルに応じた訓練ができるよう
に工夫したロコトレ(ロコモーショントレーニング)や「歩行」が有効とされていま
す。詳細は当院スタッフにお尋ねください。超高齢化社会を迎え、増加している
「ロコモ」ですが、適切な運動で運動器を若く維持し、健康寿命を延ばしましょう。
クリニック所長 田村裕昭
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A.腰痛をきたす疾患は、いろいろありますが、日本人が最も高頻度に経験する
症状です。若い人の場合は腰椎椎間板ヘルニアとか腰椎分離症、筋・筋膜
性腰痛症などが考えられます。重量のあるものを持ち上げたり、過度なス
ポーツを行うことが原因で起こることがあります。しかし、歩き始める次第に
腰が曲がってきたり、足が痺れてくる病気は中高年の特徴的な腰痛です。
原因は脊柱管を構成している椎間板の老化変性により、脊柱の中を通って
いる脊髄神経を締め付けて神経の循環障害が起こり、歩き始めると足が痺
れ、痛くなって次第に腰が曲がり、ひどくなると最後にはしゃがみ込んでしまい
ます。歩行を停止し、休むと痛みが治まるが歩くと再び痛み出す。これを繰り
返すことを間欠性跛行といい、これが脊柱管狭窄症の特徴的な症状です。
治療法としては投薬で痺れを抑え、血流改善のための薬を使用します。さら
に漢方薬を使用すると急速に回復することもあります。いずれも効果が薄い
時は入院し、神経根ブロックや硬膜外ブロック注射をしてさらにリハビリテー
ションで筋肉のバランス調整・筋力強化をするなどの保存療法により8~9
割は治りま。詳細は当院の整形外科スタッフにお尋ね下さい。
理事長 川嶌眞人
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