学会長挨拶

第58回 日本高気圧潜水医学会 学術総会
学会長 川嶌 眞之
(社会医療法人玄真堂 川嶌整形外科病院 院長)

この度、日本高気圧環境・潜水医学会(JSHUM)と日本臨床高気圧酸素・潜水医学会(JACHOD)合併後初の記念すべき第58回日本高気圧潜水医学会の学術総会会長を仰せつかり、光栄に浴するとともに身の引き締まる思いでございます。学会のテーマとして、“雲外蒼天”という言葉を掲げました。“苦労して困難を乗り越えた先には明るい未来がある”という意味です。合併に至る経緯については前回の学術総会の特別講演にて柳下和慶先生と四ノ宮成祥先生よりお話があったとおりで、多くの先生方のご尽力によって目的を同じくする2つの学会が歩みを共にすることが実現しました。それぞれの学会のこれまでの経験を集結することで、日本の高気圧・潜水医学の未来に明るい展望をもたらすステップとなることを願っています。

開催にあたりゲストスピーカーとして、アメリカのUndersea and Hyperbaric Medical Society(UHMS) Executive directorのJohn S Peter氏、カリフォルニアLong Beach Medical CenterのMichael Strauss先生、ウィスコンシン大学のAleksey Sobakin氏、韓国 延世大学 救急医学 Hyun Kim教授、Young Sung Cha准教授、高圧生理学の第一人者である関邦博先生をお迎えする予定です。海外を含め世界の第一線で御活躍されている多くのゲストをお迎えすることができ、大変嬉しく思うとともに招請にご快諾していただいた先生方に感謝申し上げます。この学会を通じて、学術的な知識や国際的な交流を深め、新たな視点を得る機会となることを願っております。

近年の本学会では臨床工学技士や看護師の方々向けのセッションも数多く見られます。UHMSにおいても職種別の部会が毎年開催されています。これは高気圧酸素治療が医師のみでなく技師や看護師の皆様の力無くして成り立たないことを物語っています。皆様の専門知識と経験は、本学会をより豊かなものにすることと確信しています。多くの演題応募とご参加、忌憚のない活発な討議を期待しています。

中津市は、心臓の刺激伝導系を解明した田原淳先生や、慶應義塾を創立した福沢諭吉先生といった偉大な学者を輩出し、解体新書を刊行した前野良沢を含む多くの蘭学者にゆかりのある歴史的な町でもあります。中津市はその誇りを胸に、市全体で「蘭学の里」としてのアピールを精力的に行っています。学会終了後には、村上医家史料館や大江医家史料館など、医学史や蘭学の面白さに触れてみるのはいかがでしょうか。また、大分県は言わずと知れた源泉数世界一を誇る”おんせん県”です。別府や湯布院、あるいはお隣熊本県の阿蘇山などへ足を延ばし、温泉で日頃の疲れを癒すのもおすすめです。大分県は食に関しても魅力(味力)満載で、中津からあげやとり天、夏に旬を迎える豊前海の鱧、おおいた和牛や豊後牛、佐賀関の関アジ・関サバ、ワイン、焼酎など、山海の幸がたくさん揃っています。“日本一のおんせん県おおいた♨”を存分に楽しんでいただければ幸いです。

(※韓国でのレジデントストライキの影響で、韓国のゲストスピーカーの参加は中止となりました)