高気圧酸素治療症例紹介

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高気圧酸素療法を用いて当院がこれまでに治療した病状・症例の一部を紹介します。

骨髄炎・化膿性関節炎

【治療方針】
抗菌薬の投与と創部の処置を行いながら高気圧酸素治療(2絶対気圧で60分間の酸素吸入)を20~30回行う。
改善が無い場合は掻爬(※1)を行い、その後、川嶌式局所持続洗浄療法(※2)を1~2週間行う。川嶌式局所持続洗浄療法後は高気圧酸素治療を再開する。

【症例1】 右脛骨慢性骨髄炎(瘻孔あり)、MRSA感染
外来通院中から抗菌薬を投与し、創傷処置と高気圧酸素治療を施行した。入院後、病巣掻爬と川嶌式局所持続洗浄療法を2週間施行した。終了後は高気圧酸素治療も再開した。手術から1ヶ月後、高気圧酸素治療計72回後に経過良好にて退院した。
【症例2】 左脛骨化膿性骨髄炎(海外からの患者)
自国の病院で高気圧酸素治療を30回施行後、当院に入院となり初日から抗菌薬の投与と創傷処置を施行し、当院でも高気圧酸素治療を施行した。高気圧酸素治療5回(計35回)施行後、病巣掻爬と川嶌式局所持続洗浄療法を2週間施行した。終了後は高気圧酸素治療を再開した。入院50日目、高気圧酸素治療36回(計66回)後に経過良好にて退院した。
【症例3】 右大腿骨慢性再発性骨髄炎(瘻孔あり)
入院初日から抗菌薬を投与し、高気圧酸素治療と創傷処置を施行した。高気圧酸素治療を16回施行後、病巣掻爬と川嶌式局所持続洗浄療法を2週間施行した。終了後は高気圧酸素治療も再開した。手術から3ヶ月後、高気圧酸素治療78回後に経過良好にて退院した。
【症例4】 右脛骨慢性骨髄炎(瘻孔あり)、MRSA感染
入院初日から抗菌薬を投与し、高気圧酸素治療と創傷処置を施行した。入院2ヵ月後、当初は川嶌式局所持続洗浄療法を施行予定であったが、保存療法のみで瘻孔は閉鎖した。経過を診ながら保存療法を継続し、初回入院から82日目、高気圧酸素治療63回後に経過良好にて退院した。
【症例5】 左脛骨骨髄炎(瘻孔あり)、MRSE感染
入院初日から抗菌薬を投与し、高気圧酸素治療と創傷処置を施行した。高気圧酸素治療を25回施行後、病巣掻爬と川嶌式局所持続洗浄療法を2週間施行した。終了後は高気圧酸素治療も再開した。入院から3ヶ月後、高気圧酸素治療55回後に経過良好にて退院した。
【症例6】 右環指化膿性関節炎、MRSA感染
入院初日から抗菌薬を投与し、高気圧酸素治療と創傷処置を施行した。高気圧酸素治療を10回施行後、病巣掻爬と川嶌式局所持続洗浄療法を7日間施行した。終了後は高気圧酸素治療も再開した。入院1ヶ月後、高気圧酸素治療は26回後に経過良好にて退院した。

創傷(難治性潰瘍・褥瘡・外傷)

【治療方針】
■ 血管病変状態の把握
■ 壊死組織や不活化組織の除去を行い、創の状態を整える
■ 感染のコントロール(抗菌薬の投与や創部の処置)
■ 早期から高気圧酸素治療を開始する
■ 血行状態の把握(血行再検あるいは切断の検討)
■ プロスタグランジンE1製剤(血管拡張・末梢循環改善)の投与
■ 糖尿病があれば血糖コントロールを行う
■ 必要に応じて陰圧閉鎖療法(※3)を併用
■ 必要に応じて皮膚移植を行う
【症例7】 左足背難治性潰瘍、閉塞性動脈硬化症
入院初日からプロスタグランジンE1製剤と抗菌薬を投与し、高気圧酸素治療と創傷処置を施行した。さらに、高気圧酸素治療を10回施行後から陰圧閉鎖療法を27日間併用した。入院2ヵ月後、高気圧酸素治療47回後に皮膚移植することなく経過良好にて退院した。
【症例8】 右下腿難治性潰瘍、MRCNS感染
入院初日から抗菌薬を投与し、高気圧酸素治療と創傷処置を施行した。入院24日目、高気圧酸素治療は24回目に経過良好にて退院した。
【症例9】 右下腿難治性潰瘍
受傷後から創は自己で処置をしていたが改善しないため、受傷5日後に当院を受診した。外来通院にて抗菌薬を投与し創傷処置を施行していたが、発赤は拡大し皮膚は完全に壊死したため、入院にて壊死組織の除去を施行した。入院初日から抗菌薬を投与し、高気圧酸素治療と創傷処置を施行した。さらに高気圧酸素治療を14回施行後から陰圧閉鎖療法を24日間施行し、高気圧酸素治療36回後に皮膚移植を施行した。入院57日目、高気圧酸素治療51回後に経過良好にて退院した。
【症例10】 仙骨部褥瘡、MRSA感染
入院初日から抗菌薬を投与し、高気圧酸素治療と創傷処置を施行した。入院2ヶ月後、高気圧酸素治療53回後に経過良好にて退院した。
【症例11】 左前腕広範囲圧挫滅創、左橈尺骨遠位端開放骨折
散歩中の転倒による受傷。入院時、創部の洗浄と壊死組織除去、整復を施行し皮膚縫合をした。また、入院初日から抗菌薬投与し、高気圧酸素治療と創傷処置を施行した。入院8日目に壊死組織や不活化組織の除去と創外固定術を施行し、入院35日目に創外固定を抜去して観血的整復固定術を施行した。入院50日目、高気圧酸素治療は38回後に経過良好にて退院した。
【症例12】 右中指切断
業務中にベルトコンベアに巻き込まれ受傷。入院時、創部の洗浄と壊死組織除去、露出した末節骨を切断し皮膚縫合をした。また、入院初日から抗菌薬を投与し、高気圧酸素治療と創傷処置を施行した。入院11日目に動脈皮弁術を施行し、壊死範囲が広がることなく経過良好にて高気圧酸素治療は20回で終了し、入院26日目に退院した。

ガス壊疽・壊死性筋膜炎(壊死性軟部組織感染症:NSTIs)

【治療方針】
■ 全身状態の把握と改善
■ 創部の切開、開放、排膿
■ 壊死組織の除去
■ 感受性のある抗菌薬の投与
■ 早期から高気圧酸素治療を開始する
   ・初回~数日は2.8気圧・60分間の酸素吸入(状態により1日に2回する)
   ・それ以降は2.0気圧・60分間の酸素吸入
■ 状態によっては救命のため早期に患肢の切断を行う。
■ 糖尿病があれば血糖コントロールを行う
【症例13】 左足ガス壊疽、糖尿病未治療
入院初日から抗菌薬を投与し、高気圧酸素治療と創傷処置を施行した。高気圧酸素治療は初回から3日間は2.8気圧で60分間の酸素吸入を1日2回施行した。創部は壊死組織を除去後は開放創にして創傷処置施行した。当初は切断も考慮されていたが、切断することなく経過良好にて、入院4か月後(高気圧酸素治療71回後)に近医へ転医した。
【症例14】 右大腿部ガス壊疽
入院初日から抗菌薬を投与し、高気圧酸素治療と創部の壊死組織や不良肉芽の除去、創傷処置を施行した。創は経過良好であるが欠損部位が大きいため高気圧酸素治療46回後に皮弁形成術と感染抑制のために川嶌式局所持続洗浄療法を1週間施行した。終了後は高気圧酸素治療も再開した。手術から1ヶ月後、高気圧酸素治療61回後に経過良好にて退院した。
【症例15】 左足壊死性筋膜炎
入院初日から抗菌薬を投与し、高気圧酸素治療と創傷処置を施行した。高気圧酸素治療は初回から3日間は2.8気圧で60分間の酸素吸入を1日2回施行した。創部は壊死組織を除去後は開放創にして創傷処置を施行した。高気圧酸素計53回後、創は経過良好となったため糖尿病治療目的で専門病院へ転院した。
【症例16】 右大腿・両下腿壊死性筋膜炎、糖尿病未治療
入院初日から抗菌薬を投与し、高気圧酸素治療を施行した。入院5日目に創部の切開術を施行し、開放創にしたまま創傷処置を施行、1週間後に壊死組織除去術を行い縫合した。入院50日目、高気圧酸素治療31回後に経過良好にて退院した。