【執 筆】佐々木 聡明 |
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肩関節は人体の関節中で最大の可動域を有する関節であり、鎖骨・肩甲骨・上腕骨とそれに連なる3つの関節、すなわち肩甲上腕関節、肩鎖関節、胸鎖関節から構成される肩甲帯として機能しています。
しかし、このような解剖学的な関節以外にも胸郭肩甲関節と肩峰下関節という機能的な関節が存在しており、肩関節の運動はこの解剖学的、機能的な5つの関節より構成された肩複合体の総合的な運動といえます。
肩に痛みを生じる疾患はいろいろとありますが、最も有名なもので、『五十肩』があります。この言葉の発端は江戸時代にまでさかのぼります。50歳を過ぎた頃より起こる肩の痛みに対する言葉として、日本においてかなり一般的に使用されてきました。
しかし、時代の変化と共にX線検査だけでなく、CT・MRI・超音波検査など肩関節の診断技術も向上し、『五十肩』と言われて治療されてきた中にも様々な疾患があることがわかるようになりました。以下に肩痛を呈する代表的な疾患をあげます。
肩関節疾患に対する手術による治療方法も発展をし、従来の肩関節を直接見ながら手術を施行する観血的直視下手術の他、最小侵襲を目指した関節鏡というカメラを使用して手術を行う関節鏡視下手術も行われるようになってきました。また、肩関節の治療は手術だけでなく、リハビリテーションも重要な役割があるといえます。
当院において肩関節疾患に対する治療方針としては、診察及び画像所見による適切な診断を行い、その疾患に対する治療が手術を必要としないものならば、リハビリテーションを含めた保存治療とし、手術が必要なものならば、従来の方法はもちろんのこと、関節鏡視下手術も含めた手術治療を積極的に行っています。